2月24日(月)曇りのち霧雨
太極拳in香港(6) アンダーバーをクリックしてご覧下さい
弟子2号登場!
リリーさんのお宅訪問
本当に忙しい毎日だ。こんなはずじゃなかった・・・
なんだって、旅行に来てまでこんな忙しい思いをしなきゃならないんだ?
10日間も香港にいて、しかもメインの武術大会も終わったというのに、この忙しさは何なんだ?
はっきり言って時間に追われてるじゃないか?
朝はヘレンとの約束が8時から。その前に食事を取りたいから7時30分頃ホテルを出る。
そのために7時頃起きる。ということは就寝時間は9時・・・。
おまけにランチの約束もさせられる。今日はリリーが担当のようだ。
「(別にお腹すいたら適当に食べるから、かまわないで下さい)」とも言えず、言われるまま頷いてしまう。
この日、「まだ朝食を食べてない」と言ったら「何が食べたい?」
「麺がいい」というわけで食堂に寄った。
麺といっても種類が豊富だ。適当にスープと麺を選んだ。組み合わせは自由。
でも、悲しいかな素人の私は上手く組み合わせられない。
結局、リリーさんのが一番美味しかったりで、取りかえっこしたりなんかして・・・。
彼女たちはものすごい勢いでランチの相談を始めた。
「tuzi!何が食べたい?」
「何でもいい」
「何がすき?」
「腸粉」
「・・・・」
彼女たちは、どこのレストランにするか懸命に話し合っている。
「他には?麺は?」
「麺も好き」
私の一言が終わると、広東語の応酬が始まる。ものすごい勢いだ。
「tuzi 今日は私の家に行きましょう」
「はい。ヘレンは行かないの?」
「食事の後で、アフタヌーン・ティーをいっしょにしましょう」
「わかりました」
リリーとは今日会ったばかりだから、ヘレンがいないと心細いが、まあいいか。
私はいつもこんなである。
途中でヘレンと別れ、リリーさんのお宅へ。私の泊まっているホテルのすぐ近くだった。
なぜかカラオケ、演歌
リリーさんのお宅には旦那様がいた。そして、リビングのテレビは日本の演歌が!カラオケだ!
「(なぜ?)」
旦那様は私にジュースを差し出した。
「私、水持ってますから」そう言って断ったら、今度はビールが差し出された。
「あの、炭酸が苦手なので・・・」
ほんと、何もいらないですから、お気遣いなく。リリーさんはカップに水をくれた。
「ありがとう。ところで、どうしてカラオケ見てるんですか?」
旦那様は、以前仕事で日本に2年間住んでいたことがあるのだそうだ。
私の住んでいる地方にも数週間滞在したという。
「そうだったんですか!」
「でも、日本語忘れそうだし、こういう風景画面を見ていると日本が懐かしくてね」
日本での生活が楽しかったのだと言う。
旦那様は太極拳もしていたことがあるのだそうだ。
香港に住んで30年以上だというが、ヘレンも、リリーも旦那様も上海出身だ。
「太極拳は健康にいいですよ。僕は難しくてやめてしまったけど。難しくないですか?」
「ええ、難しいです。やればやるほど難しくなってきます」
「そうですねえ。太極拳は中国の武術です。長い歴史があります」
「ええ」
「でも、科学的には何も証明されていません」
「気とか?」
「そうです。証明する方法がありません」
「ほう・・」
なーんて話を延々しているうち、リリーさんはパソコンに向って座りっぱなしだった。
何をしているのか覗いて見たら、株だった。
彼女は、家で株の売買をし、銀行と家を行ったり来たりしているそうな・・・。
だから、株式から目を離さないようにし、彼女はいつもせわしなく忙しい。
リリーさんはちゃきちゃきの江戸っ子タイプなのに、私の目には旦那様はおっとり、のんびり屋さんタイプにみえた。
このふたりの馴れ初めが妙に気になる私だった。
人相、手相、生年月日・・・
旦那様が唐突に聞いた。「結婚は?」
「してませーん(涙)できてませーん(涙)」
「そうですか?」顔を覗き込む旦那様。
「・・・おかしいなあ。付き合ってる人いるでしょ?」
「いません!」きっぱり。
「・・・そうですか?でもいたでしょ?」
「・・・いたかなあ?」考えこむ私。なんせ、そんな記憶なくなるほど遠い話だ・・・。
「手、見せて」
両手を差し出す私。手相が見れるようだ。
「うん、大丈夫だよ。商売もうまくいくし、お金は不自由しない。
それに同年代の人と比べて、あなたは成功してるよ。そうでしょう?」
「・・・はあ、まあお金には困ったことはないけど。(だって、細々だけど仕事してるし)」
「結婚は、今まで機会があったでしょう?」
「でも、うまくいかなかった。だから独身なんだし。
そんな過去よりこれからは?」
「・・・・う・・・ああ・・・」なんではっきり答えないんだ!
「これから、結婚できるの?私は結婚するの?」一気にたたみこむ私。
「あ・・・」
「えっ?」
「今年、がんばってみて」
なにそれ!?
涙の腸粉
私の結婚話は、煙に巻かれてドロンとなってしまった・・・
きっと、私の手相には難があるのだ。そうに違いない!
だって、2002年北京でも、周りに受けてた!そして私は聞き取れずわからずじまいだったが、
友人に聞いても教えてもらえなかった、ってことは良くなかったからに違いない。(2002年北京、太極拳修業記参照)
私はちょっと凹みながら、リリーさんとふたりランチに出かけた。
ご飯物をたんまり食べた。大好きな腸粉も・・・。
でもね、腸粉の具は海老に限る!私の選択ミスなのだろうが、挽き肉だった・・・。
「おいしくない(涙)」
「うん、油っぽいわね」
野菜不足を補おうと、青物も注文したが「西菜」という香港ではオーソドックスな野菜のおひたしにしたが、こちらは固かった。
香港の人は、というか中国南方の人は概して‘かため’が好みなのだ。
だから、焼きソバも日本のように柔らかくはない。
香港で焼きソバを注文すれば、日本でいう‘かた焼きソバ’が普通だ。
ふやけさせないとパリパリしてる。
野菜もパリパリ感を残して、ゆでるというより熱湯をかけただけで仕上げてしまう。
私はグズグズになるまで煮込むくらいのほうが好みだ。
黄大仙参り
リリーさんと別れてひとりになったのは2時頃だった。
「今日はどこに行こうかなあ?」
私は神社仏閣が大好きだ。
「そうだ!地下鉄で黄大仙に行こう!」
今まで、観光のコースで連れて行かれてばかりだったが、自分で地下鉄で行ってみよう。
私は地下鉄の駅に直行した。途中、旺角(モンコック)で乗り換えする。
地下鉄を降りるとすぐだった。
ここで、おみくじを引くのはこれで3度目だ。
1995年、第18番 下下(大凶)
1998年 第31番 下下(またしても大凶!)
そして、2003年。願い事をしながら100本の串が入ってる箸立てのような筒を振る。
ふり続けていると、1本だけ串が飛び出てくる。その番号がお告げ!というわけ・・・。
さて、私の願いは・・・。
将来幸せになれるか?カッチャ、カッチャ・・・
この先、幸せな家庭が築けるか?・・・カッチャ、カッチャ・・・
良縁にめぐり合えるか?・・・カッチャ、カッチャ・・・カッチャ、カッチャ・・・
ピョコッ!
「おお!出ました!第74番!」
筒を返して、おみくじをもらいに行く。
「なに、なに・・・?」
おみくじには漢詩が書いてある。
‘今年は閉塞している。夫婦は反目し別れる。
欲することが起こらなくても、それを受け入れなければならない。
もし、それを拒めば後悔し、悲嘆にくれるだろう。そうなってからでは全てが遅すぎる。
思うようなことは起こらないが、我慢して受け入れれば、いつか道がひらけるだろう’
私にはそう読めた。
「これって、今は最悪ってことじゃないの!?」
日本に帰ってから、解説本を調べてみたら、やっぱり第74番も予想通り下下だった・・・(悲)
私は未来すら下下ということらしい・・・(悲)
夜の旺角(モンコック)
モンコックで途中下車して、買い物することにした。
足の向くまま、気の向くまま・・・気ままなひとり旅。
私の今回の買い物のターゲットはVCDの類だ。
本屋とVCDの店にはしらみつぶしに入ってみていた。
映画のVCDに比べると、太極拳のVCDは極端に少ない。
見つけるには「しらみつぶし作戦」でいくしかない。
「犬も歩けば・・・」なんとやらってことを期待して。
モンコックは‘女人街’が有名だが、私はそちらには目もくれず「しらみつぶし作戦」を決行していた。
数枚の収穫を得て、映画のVCDも買って帰る頃には、すっかり日が暮れていた。
ホテルに帰って、夜食に買ってきた赤マンゴーを食べながら、テレビでベトナム映画を見た。
あー、なんと静かで穏やかな時間だろう・・・心から平和な気分になれる夜だった。
vol.91
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