2002年 北京4

3月3日(日)
「前門界隈」


 武者修業in北京(3)(左のアンダーバーをクリックしてご覧ください)
初めてモーニングコールが鳴った。今日は遅刻しないよう8:30までに向かう。


民間バス
氏隠と別れてタクシー待ちしているところへ、一台のマイクロバスが通りかかった。
マイクロバスは止まりもせず、のろのろ走りながら、中の青年が私に向かって「乗れ!」と言った。
「えっ?」中にはお客がほぼ満員に乗っていたが、そんなバス停でもないこんな所で、
「なんじゃ?いきなり・・・?」
それに、どこに行くか分からないバスに乗れるわけないじゃないの・・・と思っていたら、
「どこに行くんだ?」と向こうが聞くから、「王府井(ワンフーチン)だ」と答えたら、
「だったら乗れ!」と言う。のろのろ走りながらである・・・。
ぼられてはたまんないので、「いくらなの?」と聞いたら「1元(17円)だ」それなら、まあいいか・・・と
とっさの判断で乗り込んだ。この間数秒の会話である。考えてる暇もなかった。

私はてっきり王府井に向かっているものとリラックスしていたら、王府井行きのバス停までの送迎だった。
しばらくすると、「あのバスに乗ってけ!」と下ろされた。
マイクロバスは止まらず、のろのろ走行のまま・・・「なあんだ、やっぱりぼったくりだった・・・」

今度は目の前に止まった‘北京市バス’に行き先も確認せず、ぼったくりバスに言われたとおり
とっさに、ぎりぎりセーフで乗り込んだ・・・。「私はなんで、バスなんかに乗ってんだ?」だったが、
なりゆき任せの行き先知らず、これもありだ。
車内には停車バス停の一覧表がある。このバスの終点は‘前門’だった。
「(なーんだ、王府井は通らないんだ。まあ、いいや今日は‘前門’に行ってみっか・・・)」
バスは、1元均一である。
タクシーの初乗り12元を思うと、間違って乗り換えても12回乗れる計算だ。
「こりゃいいぞ!便利で安い!初めからバスにするんだった!」
世の中、何が幸いするかわからない・・・

車窓から
途中、‘秀水市場’の前を通った。「(ここが、‘秀水市場’か・・・)」ものすごい人だかりだった。
左に、‘北京駅’が見えてきた。そして‘宗文門’「わー!かっこいい!」
「(もうすぐ‘前門’だ・・・)」
数ヶ所ある‘前門’のバス停のひとつで降りて、足の向くまま気の向くまま・・・。

北京市「南制覇!」
天安門より南に来た事がない私は当然‘前門’も初めてだった。
ロータリーになってる‘前門’付近は、北京駅に降り立った人たちの北京の玄関口だった。
「おのぼりさんでいっぱいだ・・・おっと、我もその数か?」私の心は湧き立っていた。
ホントに雑多な感じと、怪しさが入り混じり、王府井の洗練さはここにはない。
「これこれ、これでこそ私の北京よ!」やっと、自分の庭に帰ってきた爽快な気分だった。

北京はその昔、城壁に守られた街だった。
現在もその城壁の一部は残っていると以前何かで耳にしたことがあるが、目にするのは難しい。
近年の発展開発の速さから取り壊された可能性だってある。
しかし、門だけは、残っている。北京市内に‘城楼’といわれる古建造物が何ヶ所もある。
おととい行った鼓楼、鐘楼もそのひとつである。
「やっぱり、古いものはいい!この重厚感がたまらない。落ち着きがある・・・かっこいい・・・」
昨今の高層ビルが何だというのだ?
あんなものは北京じゃなくとも、世界中に吐いて棄てるほどあるじゃないか!?
中国には中国でしか見られない城郭建築がある。
そしてそれが街中に当たり前に存在しているところが北京の北京たる所以ではないのだろうか。

‘前門’のすぐ南には(通りをはさんですぐ)もうひとつ門がある。
‘正陽門’といいます。これは、私も知らなんだ・・・。
南から、正陽門〜前門〜天安門〜午門〜紫禁城〜景山〜鼓楼〜鐘楼
一直線に並んでいるというわけ・・・。
その直線距離約5km、結構長いので歩きはキツイし、実際に直線では歩けません。
「よっしゃ!tuzi隊員、南制覇成功!」と、ぼーっと門を眺めていると、美味しそうな匂いが・・・

なんじゃこりゃあ!
「クン、クン・・美味しそうな匂いだぞ・・・」とっくにお昼を過ぎていたので、お腹がぺこぺこだった。
串揚げフライに、イカのぽっぽ焼き、焼き鳥、それに黄色い四角の物体・・・「これ、なんだ?」
こういう正体不明が大好きな私は「(よっしゃ、わかんないぞー!いいぞー、こういうの♪)」
ひとつ食べてみることにした。新聞紙に包んで渡された。
「(いいね、いいね!新聞紙っていうところがたまんないねー♪)」
私は、‘正陽門’の壮大さを眺めながらパクッ!

なんじゃこりゃあ!(松田優作で) もぐもぐ・・・

・・・さらにパクッ!なんじゃこりゃあ!(松田優作で)」

うまい!メチャメチャうまい!こんなに、うまいの初めて!あまりの感激に涙がでそうになった。
おいしくて、いくらでも食べられそうだが、ひとつでお腹いっぱいになっちまった。
冗談抜きにお薦めです!‘前門’にいったら、卵クレープ(勝手に命名)を食べること!
私はお腹がすいていましたが、それで美味しく感じたのではありません。本当に美味しいんだから!
そして、この卵クレープ(勝手に命名)を見たのは‘前門’でだけです。
だまされたと思って‘前門’にいったら、卵クレープ(勝手に命名)を食べること!いいですね!
中身は食べてからのお楽しみっつーことで!

 美味しそうな匂いに誘われて・・・


大柵欄
卵クレープを片手に食べながらプラプラ足の向くまま歩いていると・・・‘大柵欄’に出た。
「ここが‘大柵欄’かあ」スゴイ人だ!‘大柵欄’はお買い物歩行者天国です。
でも、王府井のようなオシャレで、高級ではなく、庶民の、そして、おのぼりさんのための天国です。
路地が縦横無尽に入り組んでいて、狭い路地に小さな似たような土産物店がギッシリひしめいている。
迷子になりかねない通りが続いています。
そして、この先は有名な骨董街‘瑠璃チャン’につながっています。

 ‘大柵欄’の入り口。「すごい混雑・・」


‘大柵欄’で土産物を買うと、同じものが王府井の半値で買えました。
「失敗したなあ・・・昨日買ったの、ここの倍だよ・・・(泣)」 
でも、ここは地元の人から言わせると、それでも高いのだそうです。(明日の北京参照)
おのぼり北京観光客相手ですもの、そりゃそうですよね・・・。

京劇VCD
私はCDショップで京劇のVCDを数枚買いました。
演目の豊富さもさることながら、演者と唱(歌手)が別の人(吹き替え)だったりしていますので、
購入の際はよーく読んで購入してください。
‘舞台’と‘ドラマ仕立て’と、種類が豊富なので、迷うかもしれません。
私は、出来るだけ舞台の録画を見るほうをお勧めします。
中国の京劇のVCDは、画像も、音声も悪くて、ひどいのになるとテレビの画面をホームビデオで撮影したものまであります。
(CM表示が画面に現れる=違法です)
もっと粗悪なものになると、コピーにコピーを重ねてますので、針飛びはするし、区切りの番号も読み込まないし・・・
手に負えません。そこんとこ覚悟の上でお求めください。

太極拳服
買い物しながら路地に入ってみると、「あったー!」
胸に大きく‘北京’の文字!これぞ‘いかにもTシャツ’だ!
太極拳本番(私の場合、練習ばかりで本番はないけど)用にも着れそうな中国服もある。
外国人(ヨーロッパ人)はガウンやパジャマ代わりにするようで、
こういう中国服を買い求めるのは決まって外国人だ。
(もともとパジャマなのだろう。太極拳で着るのは間違いなのかもしれない)

「別の色はないの?」と聞くと、発音から日本人とわかったのか、奥の倉庫に連れて行かれた。
「これじゃ、選べないよー」というほどの、おびただしい数。中間色もあってどれも欲しい・・・。
私は無難に‘黒’と‘グレー’に絞った。それに‘いかにも北京Tシャツ’の3点を握り締め交渉開始!
「全部でいくら?」「中国服が1着420元、それにTシャツで940元。まけて900元」
とーんでもない!(バカ言ってんじゃないよ!)
いらなーい!」
「(慌てて)わかった、わかった。もっとまけるから心配しないで・・・」
彼女は計算機をはじき「860元」と言った。
私の今の所持金の全てを超えているじゃないか!
私は、ため息をつき「話にならない!」と手に持った3点を返そうとした。
彼女は「わかった、わかった。いくらだったらいい?」と聞いてきた。

「そうねえ・・(中国服を150×2で、Tシャツが50元として、実はこの時レートを少し間違えた)
全部で350元!
「おねえさーん、それはできない相談よー。この服は品物がいいんだから・・・」
「(わかってるっちゅーに!)だから、いらないわよ
「あー、わかった、わかった。じゃあこうしましょう。全部で、600元!ねっ!いいでしょう?」
だからー、高いっつーの!・・・わかった!この黒の服いらないわ!
そうすれば350元でしょう?」
「そんなこと言わないで、3点で・・・いくらだったらいい?」
だから、さっきから言ってるでしょう?3点で350元だって!
「おねーさん、それはできないよー!」
だからー、黒いらないって言ってるでしょう!!(わかんない人ねえ!)」

彼女はどうしても、3点で売りたいらしい。
「わかった、わかった。3点で500元!だったら、いいでしょう?決定!
わかんない人ねえ!決定じゃないわよ!
あー、もういい、帰るっ!
「わかった、わかった。3点で450元!もうこれ以上できない!」
わかった、わかったってわかってないじゃんよう!
私は350元じゃなきゃ買わないの!
420元!
だから、いらないっていってるでしょう!」と品物を返そうとするが、
彼女は受け取らず、さらに押し問答は続いた・・・。
なにも、ここだけにある物じゃなし。私は他の店を当たろうと思っているのだ。
それに、350元は温情ある価格だと思うんですけど。1着100元で、全部で250元でもいいくらいよ。

「わかった、わかった。3点で380元!
そんな、半端にしないでキッチリ350にしなさいよ!
「うーん・・・360!
350!
「・・・わかった・・・350・・・」
最初からそうすればいいのよ!
彼女は袋にドサドサと、服をたたみもしないで詰め込み、無愛想に私に渡した。
そんな態度に慣れっこの私は、なけなしのお金を渡して、店を後にした。
今日も文無しになってしまった・・・。

すっからかん
今日も持ちきれないほど、たんまり買い物を楽しんだ。
残金50元ほど・・・バス代が1元、夕飯が15元もあれば大丈夫だから、あと30元の余裕がある。
「さあ、帰るとするか・・・」

 北京のバスは便利で安い!


バス停を降りた所に、日本でいう‘100円ショップ’のようなの店があった。
どの品も‘8元均一’だ。そこで箸と歯磨き粉を購入。〆て10元。(歯磨き粉は2元だった)
中国の歯磨き粉で‘黒妹’印というのがあるが、これの磨き心地がとてもよいのだ。
だまされたと思って、お試しあれ!

お世話になった寛街の食堂

 初めて入るときは勇気が要った!


ホテルに戻らず、夕飯を食べに直接食堂へ。私は毎食ここで食べていた。
2日目夕方太極拳から帰ってきて立ち寄ったのが最初で、味もしっかりしているし、
ホテルも近かったので夕飯はここと決めていた。
私は決まって5時頃に夕飯を取るので、店はまだ空いていて、席も指定席になっていた。
外国人は私だけなので、店の人たちとも顔なじみになり、リラックスして食事ができた。

私は毎回違う‘麺類’と‘おかず’の2品を頼んだ。一皿は汁のない料理にした。
なぜなら、ひとりで2品はとても食べきれない。だから残した料理をパックをもらって持ち帰り、
夜食にしたり、朝食にしたりしてたのだ。

だるまストーブに鍋をかけていて、スープを暖めている。注文してないのだが、サービスしてくれた。
薄い酒粕のようなスープで、とうもろこしなどが入っている。ほのかに酒の味がする。
「これって、酒?」「違うわよ、ただのスープよ」「ふうん、美味しいです」「体が温まるわよ」と。
確かに。それでは、ここで食事リストを紹介します!

3月1日 持参してきたレトルトお粥
刀削麺 前海で
甘い味噌ときゅうりなどの具がのっている汁無し麺
セロリと豆腐の炒め物
3月2日 持参してきたレトルトお粥
串焼き2本 王府井で
亀ゼリー入りミルクティー 王府井のデパートで
温かい汁麺
冬瓜のあんかけ
3月3日 きのう持ち帰りの冬瓜のあんかけ
卵クレープ 前門で
焼きそばのような汁無し麺
3月4日 きのう持ち帰りの焼きそばもどき
(ひょっこりついて行ったおばさんの家でごちそうになった) 次頁参照
(お言葉に甘え、ごちそうになった) 次頁参照
3月5日 持参してきたレトルトお粥
辛くておいしい五目皿とごはん
揚げ麺
レタスの炒め物
3月6日 きのう持ち帰りの揚げ麺

毎日、麺三昧で過ごしました。2皿食べても御代は15元位(200円くらい)でした。
ごはん一碗が1元です。中国バンザーイ!
食事が心配で、レトルトパックを持参しましたが、ここは中国です!(台湾じゃない!2001年台北参照)
食事には困らないのでした。それとも、当たりがよかっただけかな?

 指定席。5日の夕飯。


私が毎日通った食堂は、出前も忙しくて、青年がふたりして届けに行っていた。
私はこんな生活(午前中いっぱい太極拳、午後はぶらり、夕飯グルメ)がずっと続いたらどんなにいいだろう・・・と、
思いながら食事をとっていたのでした・・・。

 出前の確認中・・・


北京5につづく






vol.45