おかしい・・・
昨晩、6時に起こしてくれるようにモーニングコールを頼んでから寝た。これで安心だ。
一度眼が覚めたがコールが鳴らないので、まだ時間じゃないのだと思い二度寝した。
次は路地を歩く物売りの声で眼が覚めた。まだモーニングコールは鳴っていない。
おかしいな?と思って外を見たら明るい。「はっ!」時計を見たら8時だった!
「うわっ!もうこんな時間・・・(焦!)」
武者修業in北京(2)(左のアンダーバーをクリックしてご覧ください)
タクシーをとばす!
王府井
公園から直接「王府井(ワンフーチン)」に向かったが、お昼をとっくに過ぎていた。
「腹減ったー、なんでもいいから食べたい・・・」タクシーを降りて、歩行者天国の王府井に立つ。
「2年ぶり・・・」週末なので、王府井は買い物客でいっぱいだ。
真っ先に書店に向かった。太極拳の本を日本の先生に頼まれていたのだ。
それに近々ある「42式剣」の講習に備えて予習するためのテキストも欲しい。
品数は揃っているものの、どれも‘制定拳’の本ばかりで、私好みの‘伝統拳’の大家の本はあまりなかった。
「香港の方が揃ってる・・・」と感じた。
以前台湾の故宮博物院でみた‘玉(ぎょく)’のコレクションの本も探した。(2001年台北参照)
台湾一大きな書店で調べてもらったら「品切れ」と言われたので、出版はされてるはずなのだが。
でも、北京の大型書店のここにも、欲しい本は揃ってなかった。なんだか物足りない・・・。
「また、次回持ち越しか・・・」こういう持越しがあるのも、まあ悪くない。
だって、持越しがあるから次回に繋がるってこともあるじゃない?・・・要は考えようで。
本を見てると時間を忘れてしまいます。2時になろうとしていました。「あー、腹減ったー・・・」
ドイツ語
私は独学で中国語を長いこと勉強してきましたが、いまだに辞書らしい辞書を持っていませんでした。
語学や参考書だけで、ここの書店は1フロアを占めていました。
フロアのダントツ1位は英語。日本と同じように中国の学校では必修科目になっている。
ヒアリング用のカセットテープやCD類が実に豊富だ。
第2位は・・・日本語!と言いたいところだが、そうじゃない。ドイツ語なのだ。
なぜ、ドイツ語なのだろう?そして、大きく水をあけられて韓国語、日本語とつづく・・・。
ドイツと言えば、ビデオテープや、デッキの規格もドイツと同じと聞いた事がある。
中国とドイツ。どういう関係なのだろう?
はっきりした答えはわからないが、語学の件は‘医学’‘哲学’の面でドイツ語が必要だから、というのが大きな理由らしい。
規格の問題は‘歴史上の関係’ということだ。(歴史で中国がドイツとなにかあったっけ?)
日本語のあまりの不人気ぶりに「(隣の国なのに・・・それに漢字もいっしょなのに・・・どうして?)」と思った私は、
中国の人に聞いてみた。
「日本語は簡単でしょ?」と。「いいや、日本語は難しい」「だって、漢字がいっしょじゃない?」
「そうだけど、漢字だけじゃ読めないし、ひらがな、カタカナ、外来語・・・尊敬語、謙譲語・・・難しい!」
「そうか・・・、英語は中国語と語順がいっしょだから、単語さえあてはめてしまえば使えるものね」
もはや日本語は流行らないのか・・・中国の目指す先はアメリカなのか!?
私は密かに「(破滅の道だぞお!精神荒廃の道だぞお!)」と思ったのでした・・・。
串焼き
書店をあとにして外に出ると、すぐ向かいに繁盛している串焼き店があった。
「羊肉・・・牛、鳥・・・、ふう〜ん」
私は肉を食べないのだが、美味しそうな匂いに空腹が勝てなかった。
(嫌いで食べられないのではなく、数年前から肉を断ったのです)
串を返すと1元もどる。「・・・へえ、食べてみようかな・・・?」「鳥肉くださいっ!」
長さ30cmくらいだろうか・・・鉄串に刺さった鶏肉だ。
パクッ!んっ!うまいっ!スパイスの効いた味がついている。美味しいっ♪
食べながら店を観察していると、売れ筋は羊肉のようだ。
「もう1本食べてみよう・・・今度は羊でいこう!」串を返して、もう1本もらった。
羊も悪くないが、私の口には鶏肉のほうが美味しかった。2本食べたら結構お腹いっぱいになった。
百貨大楼
王府井の中でも老舗デパートと言えば「王府井百貨大楼」をおいて他にあるまい。
友人が言っていたクリームを探そうと思う。ここで見つかれば品質に間違いはないと思ったからだ。
カウンターのお姉さんに、友人から借りてきたクリームの箱を見せて「これ、ありますか?」と聞いてみた。
「向こうにあります」と教えてくれた。
中国の支払いは、伝票をもらってレジに行き、そこで領収書をもらってカウンターに戻って品物を受け取る、
といったシステムである。疑り深い私は、支払う前に箱の中を見せてもらった。
「中、見せて・・・」友人の瓶と同じだし、保証書もついている。
「大丈夫だろうか?」友人が言うには、「日本の通信販売で買ったら中身はいっしょなんだけど保証書がついてなくて、
皮膚につけたら感触が違った」というのだ。
そんなんだったら、たまらないので安全をみてひとつだけ購入した。
日本に帰って、友人にお土産として渡したら喜んでくれた。
「ねえ、これでよかったか確認してみて」と開けてもらった。
「大丈夫よ!この保証書がついていれば間違いないから!これ、日本で買うと1万円もするのよ!」
というではないか!
「ヒエー!本当?なんでそれ早く言わないのよ!
だったらもっと買い込んできてあげたのにイ!」と私はのけぞってしまった。
だって、私は北京の王府井百貨大楼で日本円にして500円ほどで買ったのでした。
それでも「高いクリームだなあ」と思ったのに・・・通信販売って、とんでもなく暴利だ。
試供デモンストレーション
化粧品売り場で友人のクリームをGET!した私に、「こちらはいかがですか?」
と店員さんが奨めるものがあった。
美容関係に興味のない私は断ったのだが「試すだけでも」と手に塗ってくれた。
手の甲に水っぽい液体を塗って、ゆっくり円を描くように撫でてくれた。
・・・長いこと撫でていると、垢のようなものが浮いてきた。
「えー!?なにこれー!?」
「角質ですよ」そして、ティッシュで拭き取ってくれておしまい。
「わあ!スベスベするう♪」本来は小鼻とかに使うとよろしいとのこと。
「ほほう・・・とっても気持ちがいいわね♪」と満足。
結局、高価だったので買わずじまいだったが、この爽快感は一日中続いたのでした・・・。
お茶する
今度は、2年前来たとき開店したてだったデパートに行って見ようと思う。
さすがに新しいだけあって、ドーンと吹き抜け・・・透明のエレヴェーター・・・「おお!」
母に何かお土産を・・・漢字が刺繍されているバックをGET!
地下食料品売り場に・・・私が好きな狭餅(ジャーピン)GET!(詳しくは2000年北京に書いてます)
地下は催し物会場も兼ねていて、この時は‘冬物衣料バーゲン’をしていた。
冬物のオーバーもオシャレで素敵なデザインばかり。「欲しい・・・けど、サイズが・・・」
私は、上半身だけが貧弱で、手足は逞しいときてる。細身の服は窮屈・・・(涙)
巨大デパート内を廻ってるのは楽しい♪週末だからか、いろんな催しをしている。
あちらこちらで人だかり・・・有名な書家の実演や、似顔の木彫り実演・・・などなど。
私もなんだかんだ買い物して荷物も増えてきた。
「お茶したいなあ・・・」と思い、看板を見ると‘亀ゼリー入りミルクティー’なるものを発見。
亀ゼリーといえば香港、ミルクティーとのトッピングのアイデアは台湾のはず・・・。
私は亀ゼリーを食べたことがないので、飲んでみたくなって席に着いた。
太いストローを刺して、中の粒状の亀ゼリーを吸い上げながら飲む。
「コーヒーゼリーと変わらんぞ・・・」と思いながら一息ついていた。
そこへ「相席いいかい?」と、ひとりのおじさんがやって来た。
「どうぞ、どうぞ」と言って見ると、おじさんも同じ‘亀ゼリーミルクティー’を持っている。
「あっ、私と同じですね」「初めて飲むんだが美味しいかい?」「うーん、まあまあですね」
「留学生かい?」「いいえ、旅行です」「そうかい、私も日本に行った事があるんだよ。大阪にね」
と、しばし話しが弾み思いがけず楽しいお茶になった。
もう、動けましぇーん!
さあ、一息ついたし、もう少しデパート探検しよう。
靴店発見。しかも、昔型の靴店だっ!清時代のシューズは底がわら刺し子になっていた。
ここにはその手作り刺し子靴があったのだ(嬉!)
これぞ、‘楊澄甫’‘陳微明’が履いていたカンフー靴です。私が長年探しに探した中国靴です。
本当は、男性用のデザインが欲しかったのですが、私の小足に合うサイズがありません。
「それは男性用なのよ。女性はこっち」バンドがついているデザインしかない。
仕方なく、「わかりました。それくださいっ!」大枚はたいて買ったはいいが、いつ履くというのだ?
そして、極めつけに、「あっ!剣が!刀が!」
私はこの時既に持ちきれないほどの買い物袋をぶらさげていたのですが、これはどうしても見たい。
「こんにちはー♪」と店に入るなり、荷物をドサドサッと下におろし、「あれ見せて!」と始めた。
私は剣も刀も持っていたが、欲しいものは欲しい・・・
「あっ!楊式の刀だ!」
楊式の刀は一般でいう‘青龍刀’とは形が違う。‘青龍刀’より細く長い。
日本刀のような形をしている。
「(絶対、手に入れてやるぅ!)」と思ったが、散々買い物した後だったので残金が残り少なかった。
帰りのタクシー代と、夕飯代くらいは残したい・・・それに楊式刀はやはり、高価だった。
そして値切りもきかなかった。「これは私の先生の手彫りなんです。まけられません」と言う。
「(ふくれて)わかったわよ!せめて、剣の房(ふさ)くらいおまけしてよー!」と詰め寄った。
刀を買ったにも関わらず、剣穂(剣の房のこと)をおまけさせるとは・・・。
「わかりました。誰にも内緒よ!」とお姉さん。
私は、かろうじてタクシー代だけを残して、散財したのでした。
そして、刀を箱に入れて紐でたすきがけにして、お姉さんは私に背負わせたのでした。
それに両手に、袋をぶらさげた私の格好といったら・・・さぞ笑えたでしょう。田舎者丸出しで・・・(笑)
「もう、動けましぇーん!お金もありましぇーん!」
懐かしの長屋
太極拳用の中国服も欲しかったのに、今日は帰るしかありません。
でも、ここまで来たんだから、2年前の長屋(2000年北京参照)を見ていこうと思って向かった。
引きずるような長い刀を背負い、袋を両手に提げて歩く私は異様だったかもしれません・・・。
角を曲がった所からつづいていた長屋は、今や長屋とは呼べないほど、きれいに生まれ変わっていた。
洗練されたアーケード街に変身していたのだ。さあ!帰ろう!
小奇麗なアーケードに用はない・・・。
運ちゃんとケンカする
買い物袋が重くて腕がちぎれそう、背負った刀が肩にくい込んで痛い・・・。
タクシーに乗り込んでホテル名を言っても、場所が分からないと、ほとんどの運転手は乗車拒否をする。
通りの名前を言えば行ってくれることに気がついた私は、分かりやすい大きな通り名を告げて乗り込んだ。
しばらく走ってホテルが近くなった所の交差点で、車線が違うことに気がついた私は、「この信号を左です」と告げた。
「なんだって?四条通りから工人体育館に行くんじゃないのか?」と運ちゃん。
「違うでしょ!工人体育館の前の四条通りから寛街に行くのよ!」と、
自分の言い間違えじゃないことを自信持って言い放った!
だって、そうして交渉成立したのですから・・・。もう、右折するしかない車線にいるから、運ちゃんも苛立っていた。
こっちだって疲れているから、そうとう苛立っていた。
「寛街だって言ったでしょ!」
確かに言ったし、運ちゃんだって確認して了解したのです。
ぶつぶつ文句言ってる運ちゃんに、「もういい!ここで降りるから!」と言い放ち、
今度は「ここでは止められないんだよ!」と怒鳴られた。
そんなこと言ったって、どんどん遠くなるじゃないか!
「いいって言ってるでしょ!歩いて戻るから!
ここで降ります!」
停車禁止というので、歩道に乗り上げさせて強引に降りた!私のワガママにも程がある、っての!
今思うと、よくポンポン言葉がでてきたもんだ・・・と、我ながら感心している・・・。
今回のケンカは私の語学力の無さが招いた誤解が原因です。反省してます・・・。
これで、私が中国でケンカしたのは2回目。
一度目は2000年上海の空港でだった・・・(2000年上海参照)
実は、もう一回ケンカするのですが、それは向こうが悪い!(つづきのページで登場します)
ドラマ撮影
ホテルに戻ったら、なにやら撮影のセットや機材で物々しい。
私の部屋の前にも機材やカメラが立てかけてある。近くで待機しているスタッフの人に聞いてみた。
「なにかの撮影ですか?」「そうです」「なんの?映画?」「いいえ、テレビドラマです」
ノスタルジーの雰囲気があるホテルだからね。
私の部屋は階段を上がってすぐなので、ドアの前はスタッフの溜まり場となっていたのですが、
翌日帰った時はアメリカ人の監督さんが雑誌のインタヴューを受けていた。
朝早くに、撮影で使っている部屋を覗きに行ったら、そこを掃除に来たおばちゃんに、
エキストラで出演して欲しいと交渉している最中だった。
「あたしゃ、だめだよー」としきりに照れていたが「セリフはないから」と言われ承諾していた。
ホントは嬉しいのに、照れちゃってからに・・・拭き掃除する手が「ノの字」になっている。
この撮影は、私が帰国するまで続いていたのでした・・・。
vol.44
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