太極拳in北京(1)

2002年3月1日(金)am6:00

一期一会
朝の5時半は真っ暗である。それでも再会のことを思うと早起きも苦にならない。
歩き始める。地図でみると30分は歩かねばならない。かなり遠い。
歩き始めて既に30分経過・・・。まだ半分も来ていないではないか・・・遠すぎる。
6時にホテルを出て40分して、ようやく明るくなってきた。もう、太極拳が始まってる時間だ。
それでも到着までまだ距離がある。やっと見覚えのある風景になってきた・・・。
捜索開始。「確か、ここに屋台が出てて・・・ないし!」(2000年北京太極拳参照)
「この辺が工事中で・・・あれ?きれいになってる・・・それで、ここだったはず・・・。いないし・・・」
始まってる時間のはずなのに・・・「場所変えたの・・・かな?」

近くで、エアロビ体操のおば様方に聞き込み開始。
「(写真を見せて)この人たち2年前に、ここで太極拳をしていたはずなのですが、知りませんか?」
「(ものすごい北京なまりで)見かけないわねえ・・・向こうの方に太極拳してる人たちがいるから行ってみたら?」と
いうので、早速行ってみたが違うグループの方たちだった。
一縷の望みをかけて聞いてみる。「(写真を見せて)この人たち2年前に、
ここで太極拳をしていたはずなのですが、知りませんか?」「知らない」
そんなバカな・・・。こんなこと想定外だよ!会えないなんて想像もしなかった・・・。
ここまで歩き通しで腰は痛いし、会えないことで、私の疲労を倍増させた。
「どうしよう・・・そんな・・・会えないなんて・・・」
私はお土産の手袋と、写真を手に呆然、そして座り込んでしまった。
「うそだあ・・・」
このためだけに、日本からやって来たというのに、どうしよう・・・。

まさか会えないなんて。もう8時になろうとしていた。
「信じられない・・・」
諦めきれない、だってこのために北京に来たんだもの!会えないじゃ済まされない!
しばらく、ボーッと座り込んだ。本当に一期一会になってしまったのか?
あの時の握手が最後になるなんて・・・諦めるしかないのか・・・?
明日はどうしようか、捜索続行か、それとも断念か・・・そしてこのお土産は・・・?
しばらくその場で考えていたが、あまりのショックに思考が停止。
2000年、名前を聞かなかったことが返す返す悔やまれる。
場所を変えたのか、引越ししたのか、亡くなったのか、なぜ3人ともいないのか・・・?
お手上げだった。頭の中も真っ白。どうしていいのか、どうしようもないのか・・・。
私はお土産の袋と写真を持って立ち尽くすのみだった・・・。

結局、私は「うそつき」になってしまったのだと思うと、悔しくてたまらなかった。
悔しさは怒りにも近かったし、それに悲しさとで、私は混乱していた。


朝ごはん
朝ごはんはどうしよう。
屋台で取ろうと思っていたのに、2年前あった麺うち屋台は一軒もない。広場の市場もない。
小銭しかない私は仕方なく、とぼとぼ、また来た道を戻り始めた。
通勤ラッシュの北京の街中は空気が悪い悪い・・・砂埃の中がっくり肩を落として空戻り・・・。
何もかもが2年前と違う。車の量の増加は目を見張るものがある。車種も日本と変わらない。

今回の旅行は食事がついていないし、初めてのホテルなので周りの状況も分からなかったため、食事が心配の種だった。
ひとりだと入りそびれて、食べ損なうことが多いのです。
私は、そんな時のために非常食でレトルトのお粥パックを持ってきていた。
部屋のポットのお湯を洗面台にあけて温めれば何食かは大丈夫。

部屋に帰って、2年の長さを思い知らされながらレトルトお粥を食べた・・・(涙)
‘もう、一生会えない’なんて本当に信じられなかった。
こんなことって現実にあるんだね・・・。
「なんで、名前聞かなかったかなあ?」
会えたら、こう言おう!あー言おう!と考えていたことが所在無く空を漂う・・・
‘もう、会えないんだ’にどうしても納得できない私。何しに北京に来たんだか・・・

ふー、部屋で、会えなかったことをいつまでも悔やんでいても仕方ない。さあ、でかけよう!
もう、10時になろうという時間だった・・・


武者修業(1)につづく


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vol.20