2005年北京3

3月3日(木)
3日目
「西便門〜阜城門〜月壇〜宣武門〜西単〜王府井」

 :am
朝食
私はいつも7時頃起きて、ベッドの中でゴロゴロしながら天気予報見て、起きて歯磨いて顔洗って、
1階のレストランに朝食をとりに下りていく・・・それがだいたい7時30分頃。
30分くらいゆっくり朝食とって、身支度して出かけるのがだいたい8時過ぎ。
・・・そんな毎日をおくっていました。

では朝食の話しをしましょう。
朝食はホテルのバイキングです。朝食券があるので、それを持って1階のレストランに食べに行く。
レストランというより、レストラン奥の宴会場。だだっ広い洋風の部屋です。
丸テーブルがいくつもあって、オレンジの制服を着たウエイトレスの女性が3、4人・・・。
なーんにもしない!ただ立っておしゃべりしてるだけ。
時々、お客さんに「ナプキンくれ」と言われてはじめて、ダルそうに持ってくるくらい。
そんなヤル気のないお姉さん達の中、高校生くらいの男の子(やっぱりオレンジの制服を着ている)
だけがお茶にお湯入れたり、料理を補充したり、食べ終わった皿をかたづけたりして働いていた。
まるでお姉さんウェイトレスのパシリ状態だ。
私が行く7時30分頃はお客さんも少なくて(団体さんは朝が早い)、
私も含めて5人くらいが朝食をとってるくらいなので、のんびりしているのかもしれない。
そんな雰囲気の中、私は毎朝の朝食を楽しんでいた・・・。

さて、料理ですが。これが毎日おんなじ!
カリフラワーの炒め物、セロリの炒め物、キャベツや人参を塩辛く炒めた物、マーボー豆腐風、汁麺、チャーハン、ゆで卵など。
それに饅頭がセイロで蒸してあって、4種類のお粥(スープ)が温めてある。お茶はセルフ。
私のお気に入りは、チャーハンをスープ碗に入れて、それにうどん汁をかけて食べる!
いわゆる、1997年母が考案した‘ツァクツァク方式’だ!(詳しくは旅行記「1997年北京」をどうぞ)
これがメチャクチャうまいっ!何杯でもいけてしまう。
それと、大豆のお粥。これに少し砂糖を加えて食べる。
これがうまいんだなあ!粟粒のようなお粥も、少し砂糖を加えたほうが美味しい。
私は毎朝お皿2杯の料理と饅頭、お粥、お茶を楽しんでいたのでした。




ある日、タイからの団体旅行の人たちと一緒になった日があった。
お揃いの帽子にバックという、どこからどう見ても団体さんで、添乗員さんらしき男性がついていた。
南国の人は朝から甘いものをとる習慣があります。お国柄なのでしょう。
私の香港の太極拳の師父も朝から砂糖ターップリのココアを飲んでいたし。
そのタイの団体さんは、バイキング料理にはほとんど手をつけず、添乗員さんが持ってきたコンビーフのような缶詰や、
スルメ、サキイカのようなのを食べている。
飲み物は‘ミロ’(日本製ですよね)これにターップリの砂糖を入れて。
お粥にもターップリの砂糖を入れて。
タイの人たちには中華料理は口に合わないのでしょうか・・・?
ま、日本人でも海外に行ってまでも「朝は味噌汁に梅干」をつらぬく人もおるでしょうからね。
私などは、日本で食べられないような‘得体の知れないもの’に惹かれるんですがね・・・(笑)

ま、そんなこんなで毎朝「ぐるじぃよ〜」と動けなくなるほど食べて、元気ハツラツ出かけるのでした。


覚えてたか!
今日も寒いっ!−6℃から最高温度1℃。一日中気温があがらない。
空気もかなり乾燥していて、滞在中静電気バチバチの日々だった。
本日の予定は、西側地区を見に行くこと。さしあたっては西便門城壁跡をめざす。
そこを見たら月壇に行く予定だ。
どちらも環状2号線沿いにあるから44路バスに乗れば行ける。
ホテルを8時頃出てバス停に向う。
すると、「おはようっ!」といきなり声をかけられた。
初日に建国門を尋ねた指導員のおじさんだった!
「(覚えられちまったか・・・)おはようございます!」

44路バスで未知なる西側地区へ。私は前門から向こうへ行ったことがない。
宣武門を過ぎて長椿街にさしかかる・・・。
西便門跡はちょうど城壁の角に当たるのでカーブがきたらバスを降りようと考えていた。
満員で混雑したバスの中、前方に城壁らしきが見える!あれか?
「(・・・次で降りようっと!)」


中国的横断
バスを降りて、たぶんあれが西便門跡と思われる公園に入るには、この広〜い環状2号を横断しなければならない。
それは日本の高速道路を渡るのに匹敵する広さだ。
私は地下道があるのに気がつかず、歩道に立ち尽くしていた。
この道を渡るのは極めて危険だ!
それでも、中国の人は平気な顔で歩いていってしまう。迷いがないのだ。
そして、難なく渡りきってしまうのだ!
えー、なんで〜?なんで、渡れるの??
猛スピードの車ガンガン来てるじゃない?なんで行けちゃうの??
私は誰かを盾に便乗して渡ることはできても、走ってる車の中へ自力で挑む勇気はない。
躊躇してきょろきょろしてる私に、通りがかりのおば様が「行って!」と声をかけた!
「え?今すか?」「今だ!早くっ!」
こんな時、走って横切るのは却って危険なのだが、私は小走りに駆け抜けた。
・・・って、渡りきったそこに地下道を見つけた!
「なんだよ〜、おばちゃん〜地下道あるんだったら、そっち教えてよ〜(涙)、あ〜怖かった〜(泣)」
そんなわけで危険な道路には必ず、地下道があります。
まずは地下道を探しましょう・・・


24式太極拳
命がけの横断を果たし、公園内へ。
入園料があるような観光地化した公園ではないので、ほとんど人がいない。
城壁に向って歩いていたら、ひとりで太極拳してるおばさんがいた。
しばらく立ち止まって見ていたら24式だった。
「おはようございます。24式太極拳ですね」
「(不審そうに)・・・え、ええ」
「もう一度いっしょに太極拳しませんか?」私は勝手にカバンを下ろしてしまった。
「起勢!」
私が套路名を言いながら、ふたりで24式を通す。

終わると、いつのまにか太極拳を見ていたおじさんが私たちに話しかけてきた。
「日本人です」と話すと驚いていた。
「私はここの城壁跡を見に来ました」と言うと、おじさんは「俺が案内してやるよ!」とハリキリだした!
「(え?別にいいんだけどなあ・・・ひとりでゆっくり見て回りたい気分なんだけど・・・)」
そう思ったものの、せっかくハリキッテいるおじさんに、そうは言えず一緒に歩き始めた。

 太極拳が終わると技撃の練習なのだ


中国と日本
よほど日本人が珍しいのか、おじさんの質問がつづく。
「ひとりなのか?」
「はい」
「ひとりで飛行機に乗ってきたのか?」
「はい」
「北京に知り合いはいるのか?」
「いません」
「旅行か?」
「はい」
「初めてか?」
「いいえ、いままで何度か北京に来ています」
「留学か?」
「いいえ」
「だったらなぜだ?」
「中国が好きだからです」
「太極拳か?」
「はい、太極拳も好きです。でも私は中国のなんでも好きです。私は書道も大好きです。
太極拳も書道も中国の文化です。料理も好きですし京劇も好きです」
「そうか・・・」
おじさんは腕章をつけていた。
よく見ると‘治安指導員’と書いてあった。公園の主、管理人みたいな人だったのだ。
「ここへは日本人は来ますか?」
「来ない(笑)」
「ふふ・・そうですか(笑)」

そんなに広くない公園内をおじさんはくまなく案内してくれた。
城壁の上には箭楼(復元)があって、そこがお茶店になっている。
城壁の上から街を見下ろしながら、おじさんのおしゃべりは止まらない。
私のヒアリングも限界にきていた。そのおじさんに繰り返し、繰り返し言われたこと。それは・・・
「日本人中国人原来是一家人」だった。かなり熱く語られた!
これって喜んでいいんですよね?反日の運動が盛り上がっている現在(2005年4月)では考えられないことなんですけど・・・。
私の中国語訳は間違えてないですよね?
おじさんは滅多にこの公園に来ない日本人の私に友好的に接してくれた。
おじさんがいたからこそ、裏に残る当時の城壁跡を見ることもできました。
私ひとりだったら見逃していたでしょう。
ここの城壁跡は表側は復元で、新しくなっています。
ですから当時の城壁跡は裏のほうにひっそり残ってるだけです。
それが見れて本当に嬉しかった!
ここに来た甲斐がありました!


裏手に残る正真正銘城壁跡(低いほう。高いほうは復元)


「これから予定はあるのか?」
「今日はこれから月壇公園に行くつもりです。ここから遠いですか?」
「遠いな」
そういうと公園からの道を教えてくれた。
「この通りをどこまでもまっすぐ行けば着くよ」
「ありがとうございます。でも44路バスに乗って行きます」
それから、もう一巡して私はバス停に行くことにした。私は持っていた飴をおじさんに差しだした。
しかし、遠慮して受け取らない。「飴だから」と渡していっしょに食べながら散策した。
私はいつもお菓子とか飴を持ち歩いているが、中国の人はこうしたものすら恥ずかしがってか、
遠慮してか、なかなか受け取ろうとしない。
「ただの飴だから遠慮しないで」と言ってはじめて受け取ってもらえる。そんな感じだ。
ま、日本でも差し出されたものは、いったんは遠慮するのが礼儀で、
「はいそうですか」と即座に受け取る人は厚かましいと受け取られがちだ。
私の出会った中国の人はみんなこんな感じだ。
やはりいったんは断わるのがマナーなのだろうか?
知れば知るほど中国人はわからん・・・


「日本と中国はもともと一家なんだ!」とおじさんは熱く語った


この公園にはペットの小型犬を散歩させてる人がたくさんいた。
芝生に入ってはウンチしたりしている。
飼い主のマナーも良くて、ちゃんと袋を持ってきている。
チワワやダックスフントのような小型犬に洋服を着せてお散歩している。リッチな感じ・・・
「この公園は犬が多いですね」
「ああ」(困ったものだ、と言いたげに嘆くおじさん)
ときおり、芝生を荒らしてる犬がいる、とおじさんは飼い主に指導を飛ばしていた。
おじさんの仕事は犬の管理なんでしょうか・・・(笑)


阜成門付近
西便門城壁を制覇し、44路バスで北上した。
地図でみる月壇はかなり広い。バスに乗って検討がつくだろうか・・・?
阜成門に向う右側は真新しいビルが立ち並ぶ金融街だった。
月壇は左に見えてくるはずだが、それらしきはない。
ただ地図には月壇体育館がある。
その近くのはずだから、もしや通り過ぎたのかもしれないと思った。
バスの一区間はけっこう長い。
月壇体育館らしきが見えてからすぐ次で降りたが、けっこう戻らねばならなかった。
阜成門で降りたらすぐ脇が遊歩道になっていて公園になっていた。
せっかくここまで来たんだし、少し眺めていこうと思った。
バス停は道の中央にあるので地下道に入った。
その地下道がちょっとした露店街になっていた。
衣料品、携帯電話ケース、手袋、時計、ジグソーパズル・・・
その中にきのう日壇で見た例の‘蹴羽根’を見つけた。
「(・・・欲しい!)」大きいの(5元)と小さいの(3元)とある。ひとつずつGET!
(この蹴羽根は後日スポーツ用品売り場で見つけたが大きいのが7元と露店比べ割高だった)

さてさて遊歩道に行ってみると、そこにラクダ連隊のレリーフが!
阜成門は北京の西方。石炭が運ばれた門であるが、その担ぎ手はラクダちゃん♪
遠く砂漠を越えてのキャラバン隊もこの門をめざした・・・。
きのう前門で見た写真が蘇る・・・。
私は、しみじみ古き北京に触れているという気持ちになった。


当時、ラクダは大型物資や石炭の輸送手段だった。
西方からのキャラバン隊の風景は日常だったに違いない・・・。


tuzi銃に囲まれる!
阜成門から月壇北街までかなり歩いた。
寒くてかなわないのでフードをかぶって歩く。
月壇は南孔士路沿いにある、と検討をつけて私は歩いて行った。
月壇北街と南孔子路の角に銀行があった。
道を横断して銀行の前にさしかかったその時!
ワンボックスカーがキキーッ!と歩道に乗り上げてきて、私の目の前で急停車した。
ドドドッ・・・あっという間に4人の銃を構えた人に取り囲まれた私は呆然。
「(へっ?これって拉致なのなの??私なんか拉致しても何の役にもたたないのに・・・)」
一瞬のうちに頭の中を駆け巡ったが、「早く、あっちいけ」と手で、おっ払われてしまった。
そうなのだ。銀行の現金輸送車だったのだ。
たまたま、タイミングよくそこを通りかかって、囲まれてしまった・・・というわけ。
それにしても怖かったよぉ!あの銃って本物なのなのぉ?
まだ、私がボーッと立って見ているうちに現金輸送車は走り去ってしまった。ふう・・・。


月壇到着
月壇に到着。
「(嫌な予感・・・)」
そうなのだ。外壁がぐるっと青いトタンで覆われているのだ。
北京の街中は2008年オリンピックに向けてどこでも工事中・・・
壊しては新しくし、掘っくり返しては新しくしている。もしや月壇も工事中か・・・?


月壇をとりまく、にっくき青いトタン塀。クーッ・・・(涙)


近づいてみると案の定、入れない。
「(入り口はここだけなのだろうか?)」
反対方向からやってきた通りがかりの男性2人に聞いてみた。
「お尋ねします。月壇の入り口はここだけなのでしょうか?」
「さあ・・・向こうにはなかったよ」
「ぐるっと回ったらあるかしら?」
「うーん、どうかなあ?」
阜成門から、このクソ寒い中はるばる歩いて来たというのに入れないなんて!
前回の梅蘭芳記念館を彷彿とさせていた・・・。
あの時も強風の中延々歩いてやっとの思いでたどり着けば休館中だった。
同じようなシチュエーションにショックでその場で呆然としていたら、さっきの男性2人が戻ってきて
「工事中なんだって。入れないよ」とわざわざ調べて教えてくれた。
「そうなんですか・・・いつまで入れないんでしょうね?」
「あー、それはわからないなあ」
「ご親切にありがとうございました!」
残念だが仕方ない。そんなわけで月壇の祭壇プレートは確認ならず!次回に持ち越し。


ポップコーン事件
かえすがえす心残りだが、諦めて私は次なる目的地に向うことにした。
今日は西単で買い物するつもりでいる。もちろん、西単にもはじめて行く。
阜成門に戻らず西単行きのバスはないものか、バス停があるごとにながめてみたが、結局見つからなかった。
私は阜成門に戻ることにした。
阜成門外大街北孔士路に歩道橋がかかっている。そこで捕物があった!
「(今日はなんて日なんだ・・・)」
警官とおじさんがもめている。
警官は一方的におじさんを連行しようとしているが、おじさんの何がいけないというのだろう?
私には不思議に見えるこの光景を、通りを歩いていた人たちも黙って見守っている。
私は、もっと中国語ができて警官が何を言っているのか聞き取れれば・・・と思うばかりだった。

おじさんは地方から出てきた風貌で、顔も手も黒光りして、着古した背広を着ている。
肉体労働なのだろう、体格がいい。警官よりずっと背が高く、ガッシリした体をしている。
そして、背中にものすっごく大きな袋。中身が透けて見える。豆?とうもろこし?
ポップコーンのタネのような黄色っぽい穀物がぎっしり!かなりの量だ。
袋がおじさんより大きい。
だけど、だからってそれの何がいけないっていうの??
おじさんは強制連行されてどっかに連れて行かれてしまった・・・。
なんだか、私の目には理不尽にしか見えないんですけど。
どー考えてもあんな大きな袋、盗んだものとは思えない。
それに中身は食料(穀物)にしか見えない。
山奥から大都会北京に一儲けしようとでてきた・・・そんな感じのおじさんにしか見えない。
歩道で警官に怒鳴られて、おじさんは抵抗はするものの弱弱しかった。
何がいけないっていうの??
よっぽど、通りがかりの人に連行された訳を聞いてみたかったがやめた。
もしかしたら中国の触れられたくない事柄かもしれないから・・・
外国人の私が聞いたりしてはいけない事柄かもしれないから・・・
見れば見るほど中国は摩訶不思議な国じゃ・・・




3月3日(木)
3日目
「西便門〜阜城門〜月壇〜宣武門〜西単〜王府井」

 :pm
西単
結局、阜成門でも西単行きバスは見つけられず、宣武門で降りて西単まで歩くことにした。
今日も寒い!たまらずフードをかぶって歩いた。ちゃんむいっ!
バスを降りたら、即行で道を聞かれた!
「西単はどっち?」
やはり、地方から出てきたような青年だった。
「この道をまっすぐよ」って教えてあげた。・・・てか、なして私?中国人にしか見えないってか?
宣武門内大街をしばらく歩くと、
「!!」
出た!西単てこういう地区だったのね・・・


複合娯楽施設、複数の映画館が入ってる。
西単は若者が集う地区


西単には北京で一番大きい書店、北京図書大厦がある。西長安街を渡ろうと地下道に入った。
そこに均一ショップを見つけた。(露店ではありません)
一箱に箸が20膳入っているのをおみやげにしようと、まとめ買いした。
5箱も買ったのでこれがけっこう重いっ!バーバパパバックは今日も大活躍♪
こうして寄り道しながら、北京図書大厦にようよう到着・・・。
ここになら‘玉’の本があるかな?と探してみたが、ここでも思うような本は見つからなかった。
VCD、DVDコーナーへ。ここは京劇物が豊富でした。
この時買った「三盗令」がビンゴ!だった。やはり京劇は活劇に限るね♪
欲しかった「三岔口」のDVDも手に入れた。「(DVDなら大丈夫!)」と、
安心しきって購入したのに、ウチのデッキではなぜか見れなかった・・・(泣)
「(そんなのありかよ?DVDなのに?)」結局、パソコンでも見れなかった・・・(泣)
VCDなら規格外で見られないってこともあるでしょうが、まさかDVDでもあるとは!
想定外の展開です(←by tuziエモン)
ま、この時はそんなことになるとは露思わず、京劇物を数枚購入。

その後も西単北大街をぶらぶら歩いてみたが、これといって面白そうなものもなさそうなので、
王府井に行っておみやげにするお菓子を買おうと思う。
おみやげは時間があるうちに先に買っておかないと、後々慌てることになるからね。

それにしてもお腹が空いてきた・・・。
それもそのはず既に2時だ。バス停に行く途中で麺店に入った。
壁にメニューが貼ってある。セルフサービスのようだ。
「(えっと・・・)」
タンタン麺、ジャージャー麺、ワンタン麺・・・このへんはわかる。
「(西紅柿麺?・・・ん?‘西紅柿’?なんだろ?)」
興味はあるが、紅いって・・・西の紅い柿。
「西紅柿麺下さい」
お金を払って、おつりをもらったら、お札が小さく三角に折ってあった。
角が10枚だった。(10円のおつりを1円玉10枚でよこされたようなもの)
「(うえー、やだなぁ・・・ま、いいか。バスで使おう・・・使えるかなぁ?)」

・・・そんなことを考えているうち「西紅柿麺だよ〜」と呼ばれた。
カウンターに行って受け取ってみると、たしかに紅い。麺にのってる具が紅い!

 西紅柿麺、甘辛ジャンをいれると美味しくなった!


西紅柿はトマトだった!トマトともやしのさっぱり汁麺。これ自体味はない。
テーブルにあった調味料を加えていろんな味にして食べてみた。
それほど美味しくないが、ま、こんなものだろう・・・。
とりあえずお腹もいっぱいいなったし、おつりの角で王府井行きのバスに乗った。
角はちゃんと使えました!ホッ。


お菓子あれこれ
王府井でも均一ショップにふらふら入ってしまった!
毛筆の5本セットで10元。きのう瑠璃チャンでの1本の10分の1以下の安物買い。
書き味など度外視だ!他にもバックや小物など安さに任せてジャンジャン買う・・・。
寄り道して「安物買いの銭失い」になってる場合ではない。
今日は東安市場の地下に行ってお菓子を買わねば!
早いうちにおみやげを調達しておかねばえらいこっちゃ!

東安市場の地下はお菓子が豊富だ。日本のデパ地下と同じ。
以前、ここで大好きな‘フーリンジャーピン’5箱パックを買った。
かなりかさばるが、これが美味しかった!
6角形の箱に5,6枚入っている。おみやげに配るもよし、家で食べるもよし。
今回は‘フーリンジャーピン’だけではなく、各種お菓子を買って食べ比べしようと思う。
糖(飴)も細い糸状の飴や、柔らかい飴、固い飴と種類は豊富だ。
それに粉粉のお菓子やら・・・。
あれこれ飴だけで3箱+お菓子2箱+フーリンジャーピン5箱。
ゲッ!すげえ荷物になっちまった・・・
まだまだ!きのう瑠璃チャンで買いそびれた書道用品を買いに王府井書店へ・・・。
私は両手がふさがった状態で王府井書店のエスカレーターを上っていった。


縁あってバッタリ!
王府井書店のエスカレーターは上りと下りが交差していて、すれ違うようにできている。
だから、上に行くためには反対側に行ってから、また上がる・・・ということを繰り返さねばならない。
下りるときも同じことを繰り返す・・・少し面倒なつくりになっている。

筆置きや印泥を買おうとエスカレーターを上っていたら、下りのエスカレーターにご夫妻を見つけた!
初日にお会いして送迎のバスの中でお話しした、かのご夫妻である。
今回はノボテル新橋飯店に宿泊されている。(以下‘ノボテル’さんといたします)
すれ違いざまに「ノボテルさ〜ん!」と、ふさがってる手を必死で振って声をかけた。
「あー!」と気づいてくださったようだ。
上で待っていたら、ご夫妻が上がってきてくださった。
「すごい買い物ねー」
「エヘへ・・・ちょっとお菓子を買い込んでしまって」
立ち話をしていたら、今日は奥様のお誕生日なのだそうです。
「おめでとうございます〜!今日は・・・3月3日。お雛様ですね♪」
「それで、これからケーキを買ってお祝いしようと思うんだけど、いっしょにいかがかなぁ?」
「え?私なんかが、せっかくのお誕生日にお邪魔しては・・・」
「いいの、いいの。ふたりじゃケーキ食べきれないと思うし」
「えー、よろしいんですかあ?でも私、これからもう少し買い物しようと思ってまして何時に帰れるか・・・」
「じゃ、帰ったら電話しますよ。それで都合よければってことで」
「そうですね!」
というわけで、その場はわかれた。いやあ、奇遇ですう!


矢印
まだ明るいうちに帰ろうと、バス停に行った。
バス停にはちゃんと停留所名が書いてあって、今いる停留所の次がちゃんと分かるように矢印もついている。
王府井の次は北京駅、そう矢印は書かれていた。
私は半信半疑だったがとりあえずバスに乗った。
方角的に逆ではあるが、ぐるっとまわって向うのかもしれない。そう思っていた。
ところが、どうも怪しい・・・このまま見知らぬ土地に運ばれたらえらいこっちゃ。
ひとつめの停留所で降りた。・・・むむ、おかしいにゃあ・・・?
もう一度、同じ停留所まで歩いて戻った。
(直線距離ならそう遠くはなかったので)遠くはないが、なにしろこの荷物だ。
重くて王府井を端から端まで歩くのは一苦労だった・・・。
それに、すっかり暗くなってしまった。その夜空に高く上がる人影・・・。
「はあ?なんじゃ??」
巨大ブランコだ。見上げるほど高く上空を揺れる空中ブランコだ。
「こわ〜〜〜っ・・・」
アトラクションの乗り物で、若者がキャーキャー言いながら楽しんでいる。
バスを間違えたおかげで面白いものが見れた。

いやいや笑い事ではないぞ。もう疲労もピークだ。
なにしろ重いっ!腕がちぎれそうだよ〜・・・
毎日毎日買い物しては終いにはこんな荷物になってるんですけどっ。

もう一度、同じバス停に戻り、今度は車掌さんに聞いた。
「崇文門に行きたいのですが」
「対面!」
あっちって・・・?
指差すほうの停留所は、かなり遠いんですけど!ク〜・・・(涙)
仕方ない、また歩き始めた・・・。
やっぱり間違ってたんだ・・・てか、あの矢印はなんだったんだよ〜!?
寒いよ〜(泣)重いよ〜・・・(泣)
中国は車は右側通行だから、崇文門方向に向かいそうな停留所をあたる。
やっとこ見つけた停留所から崇文門までは、歩いてもさほど変わらないところにあった。
しかも、道々イチャイチャしてるカップルに遭遇するはで、
疲労倍増だよっ!!
とほほ・・・この荷物さえなければホテルまで歩くところだったのだが・・・。

いやあ、今日も真っ暗になっちまっただよ。
私の買い物も日に日に量を増量し、このままでは持って帰れるのかどうかも怪しくなってきた。
本日の夕飯は、すぐ隣で買ってきた煎餅(ジェンピン)辛いの抜きバージョンだ。


てなわけで、今晩の夕飯は二晩連続で煎餅(ジェンピン)なのじゃ!


電話
テレビの京劇見ながら夕飯を楽しもう。
その前に「(風呂に入るとするか・・・)」と思ったとき電話が鳴った。
「(ノボテルさんかな?)もしもしー」
「tuzi!私よ!シュクジンよ!」
「あー、おばちゃん!」
そうだ。きのう団結湖のお姉さんにことづけたのが伝わったのだ!
おばちゃんはおみやげを受け取ったことなど話し、会いたいから、あした団結湖に来ないかと言う。
いや、あしたは行かない。と言うと、電話の向こうでは娘のリウナーが
「こっちからホテルに行くから、って言え」と言っている。
「何時なら都合がいいか?」と聞かれたので、「夕方しか戻らない」と答えると、一方的に
「あした朝8時にホテルに行くから!わかったか!」と言われてしまった。
あしたは一日、‘おばちゃんと一緒’を覚悟(観念)した私だった・・・。

そんなこんなで、お風呂に入って、お茶を淹れて夕飯の煎餅(ジェンピン)を食べようとしたのが夜の8時頃だった。
「(もう、ノボテルさんはお誕生会始めたんだろうな・・・
私、帰るのに手間取って遅くなっちゃったもんね・・・)」そんなことを考えていたら、電話が鳴った!
「(え?おばちゃん?)もしもしー」
「ノボテルです。今帰ったんですけどご都合いかがですかぁ?」
「いまお帰りだったんですか?・・・実は私、風呂にも入っちゃって。いまどちらですか?」
「下のフロントからかけてるんですよ」
「だったら上がってきてくださいよ!」
迷惑なお願いだったかもしれないが、私の部屋でお誕生会をすることに。

ご夫妻は中国語が堪能で、中国へも毎年のようにいらっしゃってるようです。
お誕生日プレゼントになるかどうか、今日買ってきた飴を一箱差し上げた。
「これはまだ食べたことがない」とおっしゃったのでなによりだった。
夫妻はビールや、つまみにさきいかなどもお持ちになっていた。
メインのデコレーションケーキの大きいこと!
なのに「これが一番小さいのよ♪」にtuzi二度ビックリ!
真ん中にドーン!とフルーツがあるから切り分けるのがちょっと大変。
日本では滅多に口にすることができないドラゴンフルーツ(黒いつぶつぶの種がぎっしりの南国フルーツ)ゴチになります♪


祝生日!「ノボテル杜近芳さま〜、何回目のお誕生日ですかぁ?」


「上にかかってるソースはイチゴですかねえ?」
「うーん、ブルーベリーかしらね?」
「ふむふむ・・・」
作りたてのケーキはふわふわしてて美味しかった♪注文してその場でできちゃったんだそうです。
ロウソクも付いててプレートには‘祝生日’(お誕生日おめでとう)の文字。
ノボテル夫妻は今年結婚20周年だそうで、いつもおふたりで旅行されてて、
旅先で奥様のお誕生日をケーキでお祝いしてあげる・・・いいにゃあ。羨ましいっす!
なんだか私、おじゃま虫じゃありません?

その晩は、私にとって思いがけず中国のケーキ(それもデコレーション)をご馳走になり、
北京のいろんなお話しが聞けて、とっても楽しかったー♪
私はといえば隣の煎餅(ジェンピン)は美味い、とか、前門のたまごクレープは美味い、とかショボイ話しばっかで・・・。
それに迷路の胡同の話しも聞いてもらった。分かってくれる人がいるって話し甲斐がありますよね!
京劇のお話しや、あっそうそう、映画の話しも楽しかったー。
奥様はリー・リンチェイのファンだそうで、映画「英雄」の話しになった。
「あれは監督がいいですよ。私はあの映画ではトニー・レオンが光ってたと思うんですが」と言うと、
「だって、トニー・レオンって頭大きいんだもん」ときた。
「アハハッ、そうでしたっけ?(爆笑)」
「非情城市の時はそうでもなかったけどなあ」と旦那様。
うん、私もそう思う。というか、頭の大きさが変わったってか。ガハハ・・・笑えた。
私が銃に囲まれた話をすると、ご夫妻は中南海でカメラ向けたら、怒られたという話しになった。
そういえば、今日バスで天安門広場前を通ったら、ものすごい車が駐車してたっけ。
日本に帰ってから知ったことだが、ちょうど‘全人代’が開催されていた最中だったのだ。
旦那様も「いつもより中国国旗の数多くない?」と話されていた。
ところで中南海は国務院がある付近なので、年がら年中警備が厳しいのだと思います。
下手すればスパイ容疑で逮捕・・・なんてことも。

時間も忘れて会話は続き、楽しい晩はあっという間に更けていった・・・。
がんばったけどケーキは食べきれず残ってしまった。
それにしても、ひとり旅の私にとって、思いもよらない楽しいひとときでした♪感謝です。


隣人
ノボテル夫妻がお帰りになって、あしたに備えて(おばちゃんと過ごすには備えないと!)
寝るとするか・・・と思ったその時!
ピンポーン!
「(へ?だれ?)」
覗き穴がいきなり上にあって、背伸びしても覗けない。
ガチャ。
出てみると、女性がひとり立っていた。
「日本の方ですか?」と言う。日本語だ。
「・・・ええ」
「私、隣の部屋のものなんですけど、日本語が聞こえたもので」
「あれ、すいません。うるさかったですか・・・」
「いえ、そうじゃないんです。私ひとりなので日本語が聞こえて懐かしくて」
「はあ・・・そうですか」
「あなたもおひとり?」
「そうです」
「あしたはどこか行かれるの?」
「あしたは知り合いと会う約束をしています」
「・・・そうですか、ご一緒できればと思ったのですが」
この女性、ちょっと病的な感じのする人で、その勘どおり漢方薬を買いに来たのだと言う。
あまり近づきになりたくないタイプ・・・。
ドアで立ち話していたが、帰る気配がなく、ひとりで話している。
私、立ってるの疲れてきたんですけど・・・眠いです・・・寝かせてください・・・。
ひとりで来たというこの女性、日本語が懐かしいと言うから、長く滞在してるのかと思えば
そうじゃない。漢方薬を買いに来たというから毎年来てるのかと思えば、これまたそうじゃない。

そのうち気味の悪いこと言いだした。
「私、夢を見たんです。中国の着物を着た女の人が・・・それは誰なんでしょうかね?
・・・こんなの信じませんよね。その女の人が繰り返し夢にでてくるんですよ・・・」
「・・・はあ」
信じるも何も、こちとら眠いんだよっ!疲れてんだよっ!
「それで、中国に来たら何か分かるかと思いましてね。その女の人名前が‘李’って言うんです。
ご存知ですか?」
知るか!
「・・・あの、あした早いものですから」
「あら、ごめんなさい。じゃ、あしたまた話し聞いてくださる?」
「・・・はあ」
バタン。
んもうっ!隣の女性に30分も付き合っちまっただよ!
ムカーッ!
えらいのに捕まっちまった・・・。
「(明日に備えねば・・・むにゃむにゃ・・・おやすみ〜)」



4日目



本日のお買い物
阜成門 蹴羽根2個
西単 箸(20膳入)5箱・京劇VCD5枚
王府井 筆セット・バック2個・小物2個・お菓子10箱
筆置き2個・印泥・墨汁2本
交通 バス1元×5回
食事 昼食・西紅柿麺8元
夕食・煎餅2元