時代
|
人名
|
作品名
|
宋
|
徽宗
|
「詩帖」 (台北)
宋代は中国の戦国の真っ只中にあって、珍しく自由の風が吹いた時代である。
と私は思っている。
中国の歴史の中でも好きな時代のひとつなのです。
詩をはじめとする芸術がここには満載である。
‘竹林の七賢’が登場するのもこの時代でなかったでしょうか?
これはもしかしてトップが芸術を愛したからではないでしょうか・・・?
唐の太宗、清の乾隆帝もコレクションとしてまとめる造詣はあっても、
徽宗ほどではないでしょう。
なぜなら、この皇帝はマルチだったのです。
収集家としてだけでなく自ら「書」、「絵画」の名士だった。
徽宗の字体は‘痩金体’(そうきんたい)と呼ばれているように、針のように細く、
鋭利な書体である。
ある研究者によると古今の著名人(書家に限らず)の字体を研究したところ、
学者や知識人は一様に「細くて小さい字」を書いているのだそうです。
だとすると、徽宗は頭脳明晰皇帝だった・・・。
心理学的に照らし合わせると、「細くて小さい字」の意味するところは、
「社会を一歩引いて、冷静に見ている」のだそうな。
|
|
蘇軾
|
「寒食帖」 (台北)
書の内容は自然と時代を反映しているものです。
才能がありながら、左遷され南方の黄州へ・・・。
「三年経った。いたずらに流れていく時間・・・気がつけば白髪の老人になっては
いまいか」
「・・・壊れたかまど、みすぼらしい暮らし・・・国のために働きたいが、
都とは万里を隔てていて、それも叶わない・・・」
あせりと、志が遂げられない身の上を嘆く。
ひときわ大きく太い‘哭’の文字。
道に窮している蘇軾の思いが伝わる。
蘇軾は詩人としても有名です。
私が初めて名前を耳にしたのも漢詩の中でした。
|
|
米ふつ
|
「蜀素帖」 (台北)
絹の上に書いている。
|
|
文字の変遷
(一例です)
|
「甲骨文字」
紙が発明される古代中国では動物の骨に文字を彫り刻んだ。
「篆書」(てんしょ)
印鑑の文字に多く見られる文字。書の臨書としても筆で書かれる。
「隷書」(れいしょ)
平たく裾が広がった形の文字。はねる際の筆使いに力が入る。
「楷書」(かいしょ)
漢代の清書文字として使用され、現在に至る。
「行書」
時代的には楷書以前から広く書かれていたが、楷書が崩されているため
読めない人も多かった。
「草書」
行書を更に崩した文字。
基本(楷書)を踏まえた人のみが書ける高度な技術が要求される。
|
|
宋の四大家とは
|
宋代は芸術面で華やか、激戦区の時代だった。
百花繚乱の個性的な書家が数多く現れたのもこの頃だ。
このことは、宋という時代背景を抜きには語れないが、
そのことは1997年開封に少し書いていますので、ご覧ください。
ともかく、自由な気風の中で書の形も育っていった。
その中で際立つ4人が選出されたというわけで・・・。
一、 蘇軾
一、 黄庭堅
一、 米ふつ
一、 蔡襄
いずれの人物も書家としてだけでなく官僚文人としても有名。
|